第1話後編「はじめの一歩。そして一足先に」06

    ◇   ◇


    久しぶりの姉妹カラオケ以降、ここねは時おりつきねを誘って息抜きに連れ出すことにしていた。 


    もちろん、風邪などで体調を崩さないように万全の対策をしてだ。


    毎回カラオケというわけではなく、ちょっとした買い物でつきねの好きそうな雑貨を見て回ったりすることもある。


    今朝はつきねが日直当番らしく、家を出る時間がちょうど同じ頃になった。


    ここねは甲斐甲斐しく、つきねにマフラーを巻く。


    「おねーちゃん、この時期にマフラーはさすがに早いと思う……」


    しゅるりとマフラーを外すと、つきねは簡単にたたんで鞄にしまう。


    「いやいや、油断大敵! 風邪を引いたら喉にも良くないし!」


    「そうだけど……それなら昨日のオラオケもあんまり良いとは言えないんじゃ……」


    ここねは慌てて、弁解する。


    「だ、大丈夫だよ! カラオケのマイクとかは店員さんがちゃんと消毒してくれてるから。頑張ってる店員さんを信じて……!!」


    つきねと一緒に歌いたいという自分の願望が、妹に悪影響を与えたら……と考えると、ここねも気が気ではない。


    必死なここねの姿に、つきねが噴き出す。


    「ふふ。そこまで言うならおねーちゃんと店員さんを信じるよ。それにね、この前の小テストの結果すごく良くなったんだ」


    「うんうん、その調子で頑張って」


    「おねーちゃんこそ文化祭のほうはどう?」


    「ばっちり順調に進んでるよー。昨日も準備したし」


    「そうなの? それなら、つきねをカラオケに誘わなくてもよかったのに。そっちの方が大事でしょ」


    少し申し訳なさそうに言うつきね。


    「私、音楽もつきねもどっちも大事なんだ。だから、気にしない気にしない」


    「うん。つきね、おねーちゃんが歌うの楽しみにしてるね」


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    ココツキオリジナル小説

     『月ノ心ニ音、累ナル。』

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